受け継がれる精神⚡️ジギー・スターダストという美学

1972年、デヴィッド・ボウイは架空の異星人ロックスター「ジギー・スターダスト」のキャラクターに自らを重ねあわせる戦略で大旋風を巻き起こした。あざやかな色彩と艶を取り入れた思いきり非日常的な装いでキャッチーかつ力強いロックを奏でるジギーは、グラム・ロックの大流行を牽引する。グラムすなわちグラマラス(魅惑的)である。それは「ビートルズ以来の社会現象」と言われるほどの熱狂だった。ー出典「デヴィッド・ボウイ 変幻するカルト・スター」 著:野中モモ(ちくま新書)

70年代、デヴィッド・ボウイのグラムロックのステージ衣装は、大きな物議を醸しながらも多くのファンを引きつけました。その「変化と挑戦の美学」の精神は長い年月を経て今日まで受け継がれ、未だに世界の各国で拡散され続けています。

ケイト・モスがジギー・スターダストのポーズを取って表紙を飾ったVOGUE 2011年12月号。モスは逆立てた赤い髪のかつらをつけ、おへそまで切れ込んだメタリックなバルマンのジャンプスーツを着ている。横から照明を当てられ、手首を持ち上げて小さな錨のタトゥーを見せている。

この構図と照明はミック・ロックによる1973年の 「ジョン、アイム・オンリー・ダンシング」の広告用写真 を思わせる。ボウイは逆立てた赤い髪におへそまで開いたジャケット姿で、左頬には小さな錨が入っていた(ボウイは後に、このタトゥーは1960年代のテレビドラマ『奥様は魔女』のサマンサからヒントを得たと告白している。彼女はしばしば、小さな印を顔にペイントしていた)。

ー出典:DAVID BOWIE IS INSIDE(復刻版)ー